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薬剤師ネクスト経営塾

薬局経営者が考える4つの「P」と3つの「C」 (後編)

前回はマーケティングに必要な「4P」の考え方について書かせていただきました。
今回の記事ではもう一つのテーマである3つCの方もお話しましょう。

3C

この3つのCは3C分析と呼ばれ、マーケティングでの市場環境分析の要素です。
会社の戦略を立てる上で重要な3つの要素とも言えます。

実はこの考え方、最初に提唱したのは日本人だそうです。
あの、大前研一さんが1983年に発表された論文”The Strategic Triangle and Business Unit Strategy”
のなかで、この3つの要素を提唱したそうです。

“あの大前研一さん”と言いましたが、大前研一さんのこと聞いたことあるけどよく知らないという方も多いかと思います。
大前研一さんは、世界的なコンサルティンググループ「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で活躍された、日本で最も有名な経営コンサルタントの1人です。
著書も多数あるので気になる方はチェックしてみてください。

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それでは、この3Cを薬局にあてはめてみると、どうなるでしょうか。

Customer(顧客)
薬局の顧客は患者さんですね。では、もっと具体的に考えるとあなたの薬局の顧客は誰ですか?
多くの調剤薬局の答えは「◯◯医院を受診して、処方箋をもらった患者さん」というふうになるのではないでしょうか。
これが「◯◯地域のすべての患者さん」とすぐに頭に浮かんだあなたの薬局は、「地域のかかりつけ薬局」を目指していることがわかります。

このCustomerはいわゆるターゲットとなる顧客を考えることです。
「◯◯医院を受診して、処方箋をもらった患者さん」とターゲットを絞ることは、マーケティングの考え方からすると決して悪いことではありません。
しっかりとターゲットを絞ることで効率化が図られます。
一方で、顧客の発生自体を特定の組織に依存している状態は危険でもあります。

リーマン・ショックが起きた2008年以降、日本の経済の根幹である自動車産業が一時停滞し、多くの自動車メーカーが生産調整を行いました。
その結果、下請けの町工場では倒産が相次ぎました。
これは町工場が特定の自動車メーカーに依存していたからです。

薬局でもこのような現象がいつ何が起こるかは分かりません。その危機感は常に持っておく必要がありますね。

Competitor(競合)
今、あなたの薬局の競合(ライバル)はどこですか?

「ライバル??いやいないなー」と思う方も多いかと思います。
特に調剤薬局の方は多いのではないでしょうか。
それもそのはずです。
先ほどお話したように調剤薬局では、立地の優位性が絶対的な状況です。
優れた立地にあって、ターゲットを医院の患者に絞っている場合は圧勝ですので競合は気になりません。

しかし、これは立地の優位性が失われた場合は、即時敗者となる危険性も背負っています。
もし、今の薬局と医院の間に割り込まれたら。。その危機感は常に必要です。

また、薬局チェーンの場合は同じようなチェーン薬局が競合となるでしょう。
今後店舗展開をしていくうえで、必ず競争を伴うからです。
このような競合の状況や動向をしっかり把握することは経営的観点からは非常に重要です。
例えば、大病院が院外処方に切り替わるときには周りに複数の薬局ができるのが通常です。そんなときにどの場所にどの薬局ができるかをいち早く把握していることで、自社の戦略を立てやすくなります。
このように競合を分析するということも重要な観点です。

Company(自社)
あなたの薬局の強みは何でしょうか?弱みはなんでしょうか?
「小児科領域で圧倒的な知識を持つ薬剤師がいる」
「医院から最も近い薬局である」
「OTCにも力を入れていて健康拠点を目指している」
「在宅訪問を実施している」

みなさんはどんなことを思い浮かべましたか?
それは誰に対しての強みや弱みですか?
その強みをしっかりアピール出来ていますか?

自社の強みや弱み、外部の脅威や機会などを整理して考える手法も後のコラムでご紹介していきたいと思いますので、是非読んでみてくださいね。

また、自社の状況を数字でしっかり把握していることも大変重要です。
年間処方箋枚数は?
集中率は?
後発医薬品の使用率は?
お薬手帳の持参率は?
処方箋1枚の平均単価は?レセプト1件の平均単価は?
年間売上高は?
売上原価率は?
このくらいの数字は経営者たるもの必ず把握しておく必要があります。
現状をしっかり把握しなければ目標も立てられません。
このように、自社の把握ということも経営上重要な観点です。

孫子の兵法にある有名な言葉「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」
戦略を立てる上で、自社を知ること、敵を知ることは今も昔も大切なことなのです。

最後に

今回はマーケティングには欠かせない4Pと3Cの考え方を薬局にあてはめて考えてみました。
こんなマーケティング用語を使わなくとも、薬局の経営者は同じようなことを常に考えていると思います。

このツールを知っていると、マーケティングについて考えるときにまずどのように整理して考えるといいのかがわかりやすいですね。

もう一つ今回のテーマから分かることが有ります。

現在、門前薬局と言われる形態が調剤薬局の主流となっていますが。
これはマーケティングの考え方から優れた形態です。
なぜなら、商品も価格も宣伝も制限のある薬局業界において立地戦略がもっとも効果的で重要な戦略となりうるからです。
しかし、この前提が崩れた時に薬局業界は大きく変わることも、充分に認識しておく必要があります。

つまり、商品や価格や宣伝に関して他社との違いが生まれる状況になる場合です。その動きは少しずつ始まっています。その例を3つご紹介しましょう。

まず、ジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品は商品と価格に関して大きな影響力をもっています。
このジェネリック医薬品を推進していないと、商品力という面・価格力という面で競合他社に負けてしまう状況が出てきます。
今後このような商品力・価格力を前面にプロモーションする薬局が出てくるかもしれません。
そうなると、いかに距離が近かろうが、より安い薬局へ患者が移動していくことも考えられます。

次に、IT技術の発展です。
近年、薬局でのIT技術の進歩が進んでいます。
・タブレット端末を用いた服薬指導、在宅訪問
・電子お薬手帳、電子処方箋の普及
・自動ピッキングマシーン
・監査システム、薬剤師補助技術の進歩

デジタルにはデジタルの、アナログにはアナログの良さがあります。
しかし、一方しか出来ないからそちらを選ぶというのは危険です。
どちらの可能性も吟味した上で、有用性を判断しなければいけません。
今後薬局間でもIT力の差が出てくるのではないでしょうか。
その時に、時代遅れの薬局とならないように勉強が必要だと感じます。

最後に、在宅医療です。
在宅医療は今後、薬局の主力商品の1つになる可能性があります。それだけ潜在的なニーズがあるからです。
この在宅医療の分野で優れた商品・サービスを持っている薬局と持っていない薬局では差別化が図られます。
在宅医療は一朝一夕ではできません。少しずつ、少しずつ、信頼とネットワークを広げていく必要があります。
未来を考えている薬局は既に始めています。
全ての薬局で在宅医療が必要だとは言いませんが、その可能性を考える必要があります。

皆さんの薬局はどうでしょうか。
もう一度この4Pと3Cを使って考えなおしてみると、面白いアイデアが浮かぶかもしれません。

最後に忘れてはならないことは、4Pと3Cは生きています。常に変化を続けています。
今成功しているマーケティング手法が今後ずっと成功するとは限らないのです。
経営者たるもの常に先をみて考える必要がありますね。

次回のテーマは「薬局管理者がPDCAを実践するときに注意すべき3つのこと」です。
お楽しみにー!

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