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薬剤師ネクスト経営塾

いまからでも間に合う設備投資を即時償却する方法(後編)

さて、前回の続きです。

今回は「生産性向上設備投資促進税制」の具体的な中身についてご紹介したいと思います。解釈等に間違いがありましたらご容赦下さい。

詳細などはこちらのHPに書いておりますので、後ほど御覧ください。
http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html

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この制度を一言で言えば
「本税制措置は、質の高い設備の投資について、即時償却又は最大5%の税額控除が適用出来る税制措置です。」

そして、この制度を適用するためには、2通りの方法があります。
1つ目は、「最新設備を導入する場合」です。

この場合、最新設備を作っているメーカーさんから「証明書」を受け取ればこの制度を受けられます。
簡単ですね!しかもこれは、購入後に証明書を発行して貰えば大丈夫です。
これができるなら絶対にやるべきです。

ただ、メーカーさんが勝手に証明書を発行できるわけではありません。
メーカーは認定されている工業団体などに、証明書の発行を依頼します。
その団体の審査で合格できなければ、「証明書」は発行できないのです。

ちなみに、私の薬局に先日導入した某メーカーの「調剤監査機」は、団体からの証明書発行が出来なかったそうです。
そのあたりは、購入前に確認したほうが良さそうですね。

2つ目は、「利益改善のための設備を導入する場合」です。
これについては、なぜ利益が改善できるのか、根拠資料などが必要です。
そして、最寄りの経済産業局で面談を受ける必要があります。
まずは、税理士さんに相談してから、経済産業局へ電話かメールで問い合わせてみましょう。
概ね1ヶ月ほど承認までの時間が必要ですので、まずは経済産業局へ相談することから始めることをおすすめします。

実際に、私のクライアント先である薬局が、新店舗の案件について、この制度を適用させた事例を具体的にご紹介しましょう。
(実際の事例に基いて、加工しております)

具体例

N月1日  来月1日にオープン予定の新店舗について、この制度について提案しました。
薬局から税理士さんに相談したところ
「間に合うかは分かりませんが、チャレンジしてみましょう」ということになりました。

経済産業局に問い合わせたところ、
「メールで事前に資料のすり合わせをしながら、進めましょう。
会社の代表者の方との面談も必要になります。」とのご回答。
「間に合うと思います」とのことで担当の方も大変親切でした。

早速、申請資料作りです。

経営者が用意したものは、
・申請書(目的、概要など)
・店舗工事の見積り(1,000万円)、図面、設置場所など
・登記簿謄本もしくは定款

そして、税理士さんと一緒に準備したものが、
・事業報告書
・貸借対照表及び損益計算書(3年分)
・中小企業に該当する資料
・申請書の根拠となる資料

最後に、税理士さんが「事前確認書」を発行して下さいます。

ある程度の資料の準備事態は7日ほどで完了しました。

最も重要なところが「申請書の根拠となる資料」です。
中小企業であれば、設備投資のROIが5%以上ないと認められません。

ROI??

ROIとは何か。ROIは「Return on Investment」の略です。
日本語では「投資利益率」や「投資収益率」と呼ばれます。
つまり、投資した金額に対して、どの程度の利益を出せるかを示したものになります。

今回の場合、店舗工事等に総額2,000万円かかりますので、
年間に100万円以上の利益が出れば良いのです。
調剤薬局店舗であれば、充分に達成できる数字だと思います。

それでは、実際にどのようにして根拠資料を作っていったのか。
各ケースに応じて、経済産業局のサイトに根拠資料の作成例も掲載されておりますので、是非ご活用下さい。

今回のケースでは、税理士さんとともに、新店舗の翌年度以降の収支シミュレーションを実施しました。
収支シミュレーションについては、「処方せん応需枚数」や「1枚単価」を想定して収入を算出し、
既存の店舗の「売上原価率」「販管費」に基づいて、費用を算出してあります。
また、「減価償却費」について設備額と耐用年数に基いて算出しました。

この結果、「収入」と「費用」そして、「減価償却費」が算出されました。

「営業収入」−「営業費用(減価償却費含む)」=「営業利益」です。

「減価償却費」は、現金の減らない費用となるので、キャッシュ・フロー(現金の増減)を見る場合には戻してあげます。
そこで、
「簡易キャッシュ・フロー」=「営業利益」+「減価償却費」となります。

例えば、新店舗の収入が年間100,000千円。売上原価が73,000千円。販管費が25,100千円(減価償却費100千円を含む)。としましょう。

営業利益は、100,000 − 73,000 − 25,000 = 1,900千円です。

そして、簡易キャッシュ・フローは
1,900 + 100 = 2,000千円 となります。

20,000千円をこの設備に投資してありますので、このときのROI(投資利益率)は、
2,000/20,000 = 0.1  10%になります。

余裕で5%をクリアしましたね。
このような資料を作成しておけば、大丈夫です。

実際には税理士さんが概ねの資料を作成しくれます。
何度かメールにて、経済産業局の担当者の方と打合せをして、足りない資料があれば追加します。

その後、経営者が面談に行き、この設備投資の必要性などが確認されます。
問題がなければ1週間後くらいには、事前承認がでます。
優秀な税理士さんがいらっしゃれば、ほとんどの部分をサポートして下さるので、経営者も楽ですね。

効果

それでは、これでどのくらい節約になるのかを考えてみましょう。

まず前提です。
・今年は大変利益が出ていて2,000万円の利益が出そうです。
・決算月に新店舗がオープンしたと考えましょう。
・仮に新店舗にかかった費用を10年で減価償却できるとします。

通常であれば減価償却費として費用化できるのは、17万円くらいです。2,000万円から考えるとほとんど無視できる金額です。

しかし、この制度であれば「即時償却又は最大5%の税額控除」が選択適用できます。

即時償却すると、2,000万円分の経費(損金)を計上できるので、今年の利益が0になります。
中小企業であれば、これで約650万円もの法人税を節約することができます。

一方、5%の税額控除を選択すると、
2,000万円の5%、100万円の税額控除が受けられます。

一見すると即時償却したほうが断然いいですね。
でも、そう簡単ではありません。

即時償却するということは、翌年度以降の減価償却費を計上できません。
一方で税額控除を選択すると、減価償却費は通常通り計上できるのです。

?????ってなりますよね。私もなります。
実際はどちらを選択したほうがいいのでしょうか?
個別のケースでどちらを選択したほうが有利なのかは変わってきます。
そのへんは是非税理士さんとじっくり話し合って下さい。

私の考えでは、概ねこのような選択をすると良いのだと思います。
①翌年度以降の利益が同程度か少し減少する程度→税額控除を選択。
②翌年度以降の利益が増加する→税額控除を選択。
③翌年度以降は利益が大幅に減少する→即時償却を選択。

ただ、未来を正確に予測することは難しいです。
もしかすると法人税率が大幅にあがるかもしれないし、大幅に下がるかもしれない。
会社の利益が大幅に増加するかもしれないし、赤字になるかもしれない。
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このあたりをどのよう考えていくかが、経営者の財務センスだと思います。
皆さんはどっちを選択しますか??

ちなみに私は即時償却を選択したくなるタイプです。

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